評価:
ひさしぶりに川端康成を読んだ。
駅の文庫棚にあったのを目敏く見つけて読んだ。
私もここ数年、読み終わった文庫本は必ず此所に置く事にしている。
実の所、これなどはもろにエロ小説だが、
文章が格調高く、あまりにも洗練されているので、
最後まで純文学気分で読める。
この小説はフランスで映画化されていたような気がする。
古都や雪国に比べると、
川端康成の完璧に心の動きと情景をみごとに織り上げる流麗さよりも
スケベな部分が全面に出た作品に感じられる。
軽やかでリズミカルな展開だが、
ところどころとラストで
深遠で重厚な情景がエロを圧倒するあたりはさすがだ。
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