定年前のリフォーム

絵本・その他
著者溝口千恵子・三宅玲子

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スメルジャコフ [2005年02月03日(木)]

評価:


仕事上、書店でリフォーム関係の本を見つけたら、
必ず買うようにしているが、ほとんどの本は、
設計士が実際行った施行事例に終始している。

だが、この本は少し違う。
本人の施行実例の中からエッセンスを取り出し、
ときには客観的なデーターを交えながら、
ていねいに語られている。

意外な発見もあった。
私個人の意見としては、
リフォームは、退職金が出た頃にやる人が多く、
その後、5年くらいたつと、
いよいよ気持ちも保守的になって、
現状のままでいく、と見ていた。

それに対して、
この本の筆者は違う意見である。
リフォームは、定年前のまだキャッシュフローが
潤っている時期にリフォームをやる人が
多いとしている。

またバリアフリーに関しては、
面白い提案がなされていた。
それは、バリアフリーを2つのステップに
分けて考えようというものである。

ステップ1では、
健康なうちに廊下の幅を広げたり、
壁を補強しておき、
ステップ2で、必要に応じて、
手すりなどをつければ
「早く」「安く」「簡単」にできるという
合理的な提案である。


私の取材経験からすると、
バリアフリーのためにリフォームする人は、
不幸にして重い病気をされた方が多い。
あらかじめ不測の事態を想定した
バリアフリーは実際にはほとんどなく、
他の部屋をリフォームしたついで
というのが真実だと思う。

これはお年寄りは、将来不安のために、
蓋然性の低いことにお金を使わない心理が
働いているためだと思う。
せめて金利が年利5%くらいになれば、
お年寄りの財布もゆるむかも知れないが。

ならば、発想を転換させて
「長男がやってあげるリフォーム」などの
企画を立案したらどうだろう、
と思ったが、今の世の中、
子世帯に期待するのは無理だと思い。
じっと我の手を見つめた。


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