評価:
本書の良いところは、「論語」中の似た句をピックアップし、
さらに現代訳、原文の順に掲載して、分かりやすくしている点である。
それと、もうひとつ、孔子の母国である魯国の政権の経緯が、
整理されているのも良い。
・ 先祖は、周公。孔子が理想とした。
・ 孔子の時代の王さまは、昭公。
・ だが、実権は、桓公からの三分家である三桓氏(季孫、叔孫、孟孫)
が握っていた。それに対し、昭公はクーデターを起こすが失敗。
隣の斉国に亡命する。
・ 一方、三桓氏のひとつである季孫家でお家騒動があり、
これに便乗して、執事の陽家がクーデターを起こす。
一時的に政権を樹立したが、後に亡命。
・ 孔子は、陽家の脅威を材料にして、三家を定公(昭公の弟)の下に、
平和裡に吸収合併しようとした。
補記:
相手の人格や特性によって述べている。一般理論を述べていない。
したがって、登場する主な弟子の特徴を知っておく必要がある。
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