小説・古典
著者司馬遼太郎

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評価
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スメルジャコフ [2005年04月22日(金)]

評価:


それまで幕末オタクにしか知られていなかった
河井継之助を、世の中に知らしめた作品です。

江戸幕末、継之助は、越後長岡藩を、
佐幕派にも官軍にも属さない、
スイスのような独立国家にしようと企てます。

が、この構想は、結果的には、失敗に終わり、
幕末の動乱で一番激しかったという北越戦争になります。

当書にも、触れられているように、
継之助が、官軍の、北越地方の指揮権を持つ
黒田清輝か山県有朋に会い、直訴できれば、
状況は違ったかも知れません。

しかし、いかんせん、官軍の代表として
継之助に会見したのは、まだ若干24歳の岩村高俊でした。

人物を見る目がまだなく、さらには、
「最後の武士」と言われた継之助の会見の態度が、
横柄に映ったようで、結局、会見は不調に終わります。

佐幕派の合津藩が、意図的に、会見の場所近くで、
軍事行動を起こしたことも、長岡藩が佐幕派である、
という印象を与えたようです。

なんて言うんだろう、
頭の中はとても広いものだから、
ついつい頭の外にあることは、頭の中にあるものだと
思ってしまいます。

でも実社会って、形而上的なものでは、ないでしょう。
頭の外にあることは、頭の中どおりに、できていません。

うまく言えなくて、じれったいのですが、
継之助の不幸の本質は、このあたりに、あるような気がしました。


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