評価:
隆明さんの他の書籍を理解するために、この部分は重要。
知識について関与せず生き死にした市井の無数の人間よりも、知識に関与し、記述の歴史に登場したものは価値があり、またなみはずれて関与したものは、みななみはずれて価値あるものであると幻想することも、人間にとって必然である。しかし、この種の認識はあくまでも幻想の領域に属している。幻想の領域から、現実の領域へとはせくだるとき、じつはこういう判断がなりたたないことがすぐわかる。市井の片隅に生き死にした人物のほうが、判断の蓄積や、生涯にであったことの累積について、けっして単純でもなければ劣っているわけでもない(「マルクス伝 プロローグ」
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