評価:
20世紀前半、社会的矛盾で社会が行きづまっていた。
オピニオンリーダーたちの多くは、左翼化していったようだ。
それに対して、フィッツジェラルドやヘミングウェイは、社会と没交渉で、
自分たちのスタイルを、つらぬいたと思う。
当短編集は、世界恐慌前後に書かれたもので、
世間一般が苦しんでいるとき、ヘミングウェイはアフリカで狩りをし、
キーウェストで釣りを楽しむ日々を送っていた(当然、批判があったようだ)
ヘミングウェイは、いっけん、戦いを好むマッチョな印象があるが、
内心、ナイーブな精神を持った人で、短編によっては、作者の死の予感さえ感
じさせる。
時代が下るが、レイモンド・カーヴァーは、とくに戦いを好む人ではなかったが、必然的にトラブルに巻き込まれ、不器用ゆえ、よろよろした人だと思う。
でもサ、小説や詩には、再生を感じさせるものがあるんだよね。救いがあった
と思う。そう考えると、ヘミングウェイは不幸だよ。
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