評価:
レイモンド・カーヴァーの小説の
ひとつの特長は、
出来事の対象から離れて、
別の対象と気持ちをシェアしていく、
ことにある。
10ページにも充たない
この小説も同様で、
田舎の床屋で
常連たちが口ゲンカをはじめ、
みな出て行ってしまい、
取り残された主人公(顔見知りではない)と、
床屋のオヤジが、無言のまま、
鏡を見て何かを感じるというストーリィ。
村上訳では、frameを「固定」というニュアンスで訳しているが、
前文の「the barber said to me as if I was the cause of everything」
(まるで僕に原因があるようだ)から察すると、「to produce false evidence against an innocent person」のニュアンスの方が良いのでは
ないか、という新解釈をしてみたが。
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