評価:
英英辞典を片手に、カーヴァーの「collectors」を読んでみる。カーヴァーの短編は、簡単な単語で書かれていて、一見、英語に不案内な当方でも、読めそうな感じがする。が、しかし、意味がまったく分からないセンテンスが出て来て、そのたびに、村上春樹と柴田元幸の共著「翻訳夜話」の中の両人の翻訳を参考にした(「翻訳夜話」には「collectors」の両人の翻訳が併記されている)
比べてみると、柴田訳は言葉や言い回しに忠実に訳していて、村上春樹は意訳で訳している感じが分かる。意訳が悪いとは思わないが、それまで、カーヴァーと言えば、村上春樹だったので、村上訳を金科玉条のようにしてきたドグマが解消された気がする。カーヴァーの短編は、うまくかみ合ってないことが、かみあっている不思議な小説が多い。「collectors」も、そのひとつであろう。個人的には、「静けさ」「60エーカー」のような静かに佇んでいるような小説が好みだが。
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