評価:
著者は民主党の経済・財政の無知を杞憂している。
例えば、子供手当は、
初年度で2.3兆円、その後は毎年5〜6兆円の財源が必要だ。
その他の公約を実現するには、総額16.8兆円の財源が無くてはならない。
これを補助金等の歳出削減により、捻出することは可能か?
もし成功したとしても、長期金利が1.5%から1%上がり、
2.5%になった場合、2年後には国の予算の元利払いは4兆円に膨らむ。
歳出の削減以外にも、リスクがあるわけだ
(子供手当の財源は、ほとんど無くなってしまう)
一方、歳入増大を図る手もある。
中川正直や竹中平蔵の、いわゆる「上げ潮派」は、
名目成長率を4〜5%上げ、税収を増やす考え。
名目成長率は、実質成長率とインフレ率を合わせた数字である。
筆者はこの考えには反対で、もしやるなら、
潜在成長率の見込みが少ない分、日銀がインフレ目標を設定する、
いう不自然な形を取らざるを得なくなるかも知れない。
歳入に関しては、筆者は、消費税を上げるという考え。
消費税ではなく、年金、介護、子育といった目的税に限定する意見だ。
ところで、09年度から。
基礎年金の国庫負担率が1/3〜1/2に引き上げられている。
そのためには、恒久的に2兆円が必要だが、
09年度、本年度は、いわゆる埋蔵金を取り崩して凌いでいる。
11年度以降、どうするのか? 毎年、毎年、取り崩すのか。
なお、一度、法律化したものを変えるには、新たな立法措置が必要だ。
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