評価:
鴎外は「大塩平八郎」の付録で、大塩の乱の感想を書いている。
興味深いので、メモしておきます。
「もし平八郎が、人に貴賤貧富の別のあるのは自然の結果だから、
成行きのままに放任するが良いと、個人主義的に考えたら、
暴動は起こさなかっただろう。もし平八郎が国家なり、
自治団体なりに頼って、当時の秩序を維持しながら、
救済の方法を講じることができたなら、彼は一種の社会政策を
立てただろう。幕府を謀ることは、平八郎風情には不可能でも、
まだ徳川氏の手に帰せぬ前から、自治団体としての幾分の発展
を遂げていた大阪に、平八郎の手腕を輝はせつ余地があったら、
暴動は起こらなかっただろう」
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