宗教・心理・社会・思想・哲学・教育

スメルジャコフ ［2010年04月28日(水)］

評価： 小生も本を読む方だが、 この御三方の読書量には、到底、適わない。 しかも、感想に視点があり、説得力がある。 吉本、梅原両先生は、 ヘーゲル、マルクスを思索の道具としている。 日本全体で見れば、 体系的、制度的なものは、いつも外からやって来て、 中心に据えられる。しかし、それとは異質のものを、 日本人は自分の中に抱え、一種の境界面のような所で 思想を作り出している。 西欧には、実在論理というものがあるらしい。 意識や主題を越えた独自の実在を認める立場。 意識においては、客観を認める立場である。 この場合、客観とは、現象の背後にある本質的なことを意味する。 西欧形而上学は常に、この実在を中心に展開して来た。 これに対し、仏教の「空」の思想は、 万物には不変の実体がないことを主張する。 その他、如来が「ある」という思想（本覚思想）が上記のことを否定する指摘、異文化が衝突を和らげた枕詞や比喩の役割、本心を語れない法然と、親鸞の性格の違い、「非知」の領域の問題、アフリカ的な事と超モダンな方法の重なりによる、現代の問題の克服等、興味深い指摘が多い。十分に再読に値する書籍。

［2011年01月22日(土)］
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［2011年01月23日(日)］
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