評価:
清国、ロシアには、旧態依然の体質が残っていた。
一方、明治維新を経た我が国は、新しさがあった。
その点が対比できる。
ただ、日露戦争の時には、
すでに、第二次世界大戦の陸軍の暴走の萌芽があった。
プロシャに学んだ陸軍の、
「国家が軍隊を持っているのではなく、
軍隊が国家を持っている」という同国の遺伝子が引き継がれた。
また明治憲法下では、
陸海軍の統帥権は、首相ではなく、天皇にあった。
秋山真之の米西戦争の観察は、興味深い。
スペイン軍の旗艦には、
実感として、1000発の銃弾が当たった感じがしたが、
真之が実際に数えてみると、23発の弾痕しか認められなかった。
そこから、
スペインの被弾は、そう多くない。致命的な打撃は火災である、
という報告書を書いた。
戦は、思い込みではなく、
算術という著者の考えが象徴的に示されていると思う。
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