チャイナマン
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評価:
IRAとSAS、新聞記者に美人テロリスト。そこにチャイナマンと呼ばれる謎のベトナム人。惨劇と復讐。悲劇的で恐るべき秘密の過去。その貧相な東洋人はゲリラ戦のエキスパートだった。見えないチャイナマンに美しい追跡者。 無理なくらい出来過ぎの設定が、限り無く自然に、運命の最後に向けて静かに展開する。これを電車で読んで、駅を乗り過ごさずにおられようか! 丁寧な話の運びにおしみなく情報を詰め込んで、饒舌になる手前で軽快に場面が変わる。チャイナマンの波瀾の人生を描く事で、重厚でドラマチックなエンタテイメントになっている。物語のラストからも、チャイナマンは作者の制作意図を超えて、完成したキャラクターになってしまったのがうかがえる。