評価:
2005年から翌年の春にかけて、
話題を集めた耐震データ偽装事件。
この事件の本質は、
顧客に被害を及ぼしかねない不測のトラブルに、
経営者はどう判断するか、その是非が問われたものである。
建設を請け負った木村は、むしろ、被害者的立場であるが、
しかし、マスコミは、姉歯、小嶋、木村の組織的な事件として
書き立てた。
本書によると、
じつは一番の加害者は、
形骸化した建築確認システムを野放しにしていた
国交省の官僚たちであるという。
マスコミは、この点について批判せず、
悪者を個人に押しつける後押しした。
そして、国交省の官僚は無償のまま生き残った。
その他、戦中の陸軍とマスコミ、ホリエモン事件とマスコミなど、
本書には興味深い指摘が多々ある。
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