評価:
1)福島第一原発のメルトダウンを東電が認め、
 保安員が追従したのは、
震災から2か月経た5月21日。
IAEA(国際原子力機構)への報告が迫った時期であった。
震災直後、
保安院はメルトダウンの可能性を認識していたが、
官邸の上層部には届いていなかった模様だ。
 3月28か29日には、
原子力安全委員会はメルトダウンの可能性を保安院に指摘していたが、
アドバイスを無視していた。
2)文部科学省がSPEEDIを持っていることは、
(運用は原子力安全委員会)
3月15日付きの読売新聞で明らかにされ、
22日には、朝日新聞が予測を公開していないことを指摘、
同日、社民党の福島瑞穂が国会で指摘した。
これを受けて、翌日には公開されている。
非公開の責任者は不明のままである。
3)東電が「想定外」を繰り返したのは、
原子力損害賠償法の但し書き、
「損害が異常に巨大な天災地変又は
社会的動乱によって生じたものであるときはこに限りではない」
を盾に、損害賠償を逃れようとしたからだろう。
しかし、読売新聞の、
2008年に想定を超えた10メートル以上の
津波が到来する可能性があると東電が試算していたこと、
により、その根拠が崩れる。
さらに、2009年には、
東電から保安院に説明をしていた事実が明らかになる。
4)米エネルギー省は、
3月17日から19日にかけて、
福島県上空で広範囲の航空機モニタリングを実施し、
3月22日に同省のホームページで公開していた。
それに対し、5月2日の記者会見で、
NHKに問いつめられ、安全委員会は、
「集積精度を高める努力をしてきた」と
弁明した。それから4日後の5月6日、
ようやく、文科省は米エネルギー省と
合同で行ったモニタリングを発表した。
プロトニウムに関しては、
文科省は検出されていないとしていたが、
NHKが検出されたことを伝えると、
大熊町、浪江町、飯館村という広い範囲で検出されたことを発表した。半年以上経った、9月30日であった。
5)記者に対する東電の受け答えは、
専門用語、責任逃れの言葉のすり替えるに始終している。
ただし、小生はマニュアルを作った経験があり、
前者に関しては、専門家は専門的な言葉でしか語れない
ことは承知している。こに辺は、やや理解がある。
なお「9低線量被曝」については理解できなかった。
「トピック6 黒塗りのマニュアル」ついては、
テロ等の安全保障上の問題から黒塗りにしたと思っていたが、
指摘されてから公開したのだから、これは隠蔽体質を物語って
いるのだろう。
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