評価:
この本の主題のひとつは、モノを見ることにある。
養老さんによると、モノとマテリアルは違う。
モノは日本的で、物質に対応するマテリアルは欧米的である。
モノをとらえるのは五感である。
この指摘は、
後半の演繹的と帰納的の一例と、おそらく重なっているだろう。
演繹は、
自分の書いた筋書に都合の悪い要素は全部無視してしまう。
こちらは、マテリアル的と言ってよいのではないか。
(物質のように始めからあるものを見ている)
それに対し、
帰納的は下から積み上げて来たものに普遍性を与える。
こちらは、モノ的と言ってよいのだろうか。
本書には、モノを見る視点で、
それが当たり前のように思われていたことに対し、
まったく違った見方を提供してくれる。とても興味深かった。
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