評価:
ゼロ金利実現や、
銀行が持っていた株の日銀の買い取りなど、
速水・元総裁は、そのキャリアを生かして、
中央銀行初の施策を次々と打った。
政府による不良債権の買い取りや、
構造改革の促進を政府に勧めたのも、速水氏らしい。
もし速水氏がいなかったら、日本は、
金融危機を乗り切れなかったかも知れない。
そういう感想を、この本から得た。
また、この芯の強さは、
キリスト教の信仰から得ていることも知った。
マスコミでは、
金利問題に対する政治の介入が話題になっているが、
本書に記述してある新日銀法によると、
日銀の政策の独自性は認められているはずである。
ただ、日銀法第4条には、次のようにも書かれている。
「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、
それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連携を密にし、
十分な意思疎通を図らなければならない」
これを読むと、政府が茶々を入れる理由が分からなくもない。
しかし、中川幹事長や中川政調会長は、自民党の三役であって、政府の立場にはない。
彼らが、日銀にプレッシャーをかけるのは、筋違いだと思うのだが。
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