評価:
失敗事例から学び、
慎重にアクションを起こしても、
やはり、しくじってしまうものだが、
必ず失敗することを、あらかじめ知っておけば、
失敗の蓋然性は、ちょっぴり、少なくなるはずだ。
そう思い、本書を手にした。
本書は、
「失敗学」で有名になった筆者が
いくつかの事例を元に、
失敗の知識化を図っているのだが、
失敗した本人が書いた著作に比べると、
客観的で、読み応えはない。
そういう意味では、
倒産を経験した人や、ホームレスを経験した作家自身が
書いた本は貴重だと思う。
そういう人は、
通常、著作を発表する立場にいないし、
それだけの筆力がない。その点からも、貴重だ。
閑話休題。
この本は、数々の事例は読まなくでも良いと思う。
ただ、後章の指摘は金言だと思う。
とりわけ、失敗を、「原因」と「結果」だけで見るのではなく、
「原因」を、「特性」と「要因」に分けて考えるという指摘は、
とても参考になる。
例えば、雪印の失敗は、
儲け主義でどんなことでもやると同時に、
自分では都合の悪いことは見ないという「特性」に対して、
たまたま牛乳が安くてあまり儲からないといった「要因」が重なった。
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