評価:
ドスト氏は、主人公の「公爵」を、
純真さのシンボルとして描きたかったらしい。
人を恨むこともなく、深い情熱も持たない
主人公。今まで考えたことがなかったが、
言われてみれば、純真さとは、奥行きのない
平坦な感じかもしれないな。
ま、それは良いとして、この汚れなさが、
エゴを持つ周囲の人を振り回し、
ストーリィが進むにつれ、
今度は、皮肉にも「公爵」本人が、
周囲の人に振り回されてしまうという、
難解な心理関係が描かれている。
今まで読んだドスト氏の長編の中で、
いちばん難解な小説だったなぁ。
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