評価:
本書は3回読んだことになる。
不思議なもので、時間を経て読むと、
以前とは、ずいぶん違った味わいを持つ。
これは良い本だ。
今回は、こんなことに気づいた。
本書の核となる真理とは、
孟子の性善説に当たる。
だが、本書の中で、
性善説を、性悪説の反対の概念として
とらえられていることから推測すると、
松下翁は「孟子」を読んでいないであろう。
本書でも例を引用している
二宮尊徳の著作から得たか、あるいは、
ご自身の体験から習得された意見だと思う。
また一方では、こんなことを学んだ。
蓄積されたものを富とすると、
これを使うと富が減ることになる。
だが、生産力を富とすれば、
消費はそれほど排するものではなく、
むしろ望ましくなる。
消費することで、生産力が高まるので、
消費力も生産力と同様に富となるのだ。
ここで拡大解釈して、
広告は消費力を高める手伝いをしていると思うと、
何だか居所のない広告制作者にとって、励みになる。
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